コラム: NPO café – 藤沢市市民活動推進センター

NPO caféは、藤沢市市民活動推進センターに集まるNPOに関するあらゆる情報を提供しています。

ボランティアという言葉

日本で現在のように「ボランティア」の言葉が使われてきたのは、1950年代、第二次世界大戦後のことです。しかしながら、鎖国をしていた江戸時代(1603年~1868年)にも、自らのコミュニティを守る「町火消」や「自身番」など、自主的な活動が存在した記録があります。さらに、明治維新以降の近代社会においても、学生による「救済活動(セツルメント活動)」や住民組織の共助活動が行われていました。

1896年に公布された「民法」の34条に、「祭祀、宗教、慈善、学術、技芸其他公益ニ関スル社団又ハ財団ニシテ営ヲ目的トセサルモノハ主務官庁ノ許可ヲ得テ之ヲ法人ト為スコトヲ得」との条文が記され、社会福祉分野における財団法人が設立されはじめました。1923年9月1日に発災した「関東大震災」においては、東京帝国大学(現東京大学)の学生が、避難民の溢れる上野公園で救済活動を行ったことや、近隣県の鉄道沿線主要駅での救護所では、住民主体の青年団や消防団が活動してたとの記録が数多く残っています。当時はその人々を「自発的来援者」と言い、現在のボランティアにかなり近い活動だったようです。

戦後の混乱期後の高度成長期に入ると、市民の自主的な活動は、福祉分野から公害など生活環境における課題の解決に向かう活動や平和活動、国際活動へと展開していくようになりました。そのころには、個人の活動から組織の活動へと発展して行き、「ボランティア」という言葉も徐々に使われるようになってきました。1969年の広辞苑第2版では「義勇兵」「自ら進んで社会事業などに参加する人」との解説がついています。1970年以降は、ボランティアセンター、ボランティア保険、ボランティア貯金など、民間で多用されるようになり、1990年以降、官公庁発行の白書や報告書に頻繁に登場します。「阪神淡路大震災」の発災年である1995年は、138万人のボランティアの活動があったことから、「ボランティア元年」といわれるようになりました。

日本におけるボランティアの歴史と言葉の使われ方には時差と変化があり、役割や意味も少しずつ変化しています。それでも、16世紀のイギリスで「自警団」「志願兵」という意味で使われていたことから、ボランティアの精神が、「自主性」に裏付けられた「社会貢献性」の高い活動であることは、いつの時代でもぶれることはありませんでした。本誌では、本年度コロナ禍でも動きを止めない皆様を紹介してきました。自らの意思で、社会的な行動を、できる範囲で知恵を絞り実行している。これこそ、まさに「ボランティア」と言えるでしょう。(て)